日本産若者向けドラマの低迷
最近は専ら海外ドラマばかり観てるんだけど、十数年前(2000年代後半)は日本の青春ドラマが大好きだった。リビングのテレビで話題の作品を家族とあれやこれや言いながら観て、翌日飽きもせず学校の友達とも語らっていたなあと。テレビの視聴率低下が起き始める直前か、起き始めた頃だった気がする。youtubeとかニコニコ動画とかが出始めたのもあの頃。
私が海外ドラマにハマったのは中学生の時だった。夜更かししていた日に何気なくつけた地上波、そこで流れていたアメリカ産青春ドラマ(名前は伏せる)がきっかけ。当時は日本の”学園モノ”しか知らなかったせいで、メチャクチャ衝撃を受けた。日記帳代わりにしてたamebaブログに「このドラマ、ヤバくなああああい?」って書いた記憶がある笑
何に一番驚いたかってやっぱり日本のより過激なところ。ティーンであったってタバコやドラッグ、セックス、もう何でもあり、銃だってぶっ放す。でも意外とありのままで、共感できる高校生が映ってたんだよね。登場人物が苦境に立った時、思わず頑張れ!って言ってしまうような。
そこから日本のドラマとはだんだん距離を取るようになった。最近は本当に疎い。というかここ数年は日本のドラマを1本も観ていない…若者のテレビ離れの張本人。なんで観れなくなったのか、なんで日本のドラマじゃ満足できなくなったのか自分なりにゆるく考えてみたいと思う。
日本で若者のテレビ離れが叫ばれ始めて数年経ったわけだけど、実際テレビドラマにどんな影響が出てるか、年ごとの学園ドラマ&青春ドラマの数で比べてみようと思う。すべての作品観てるわけじゃないので、舞台が小学校から大学、キャストに小学生から大学生役が多数出演しているものを学園ドラマ&青春ドラマと定義してみた。抜けや誤字脱字はあるかも。
2003年から2017年の15年間で放送された学園ドラマ&青春ドラマ
<2003年>
- 高校教師
- WATER BOYS
- Stand Up!
- ヤンキー母校に帰る
<2004年>
<2005年>
- H2~君といた日々~
- アタックNo.1
- ごくせん 第2シリーズ
- がんばっていきまっしょい
- 女王の教室
- 正しい恋愛のススメ
- ドラゴン桜
- 1リットルの涙
- 花より男子
- 野ブタをプロデュース
<2006年>
- ロケットボーイズ
- ガチバカ!
- チェケラッチョ!! in TOKYO
- ギャルサー
- ダンドリ。~Dance☆Drill~
- ダンドリ娘
- レガッタ
- マイ☆ボスマイ☆ヒーロー
- のだめカンタービレ
- 14才の母
- セーラー服と機関銃
<2007年>
<2008年>
- ハチミツとクローバー
- 鹿男あをによし
- エジソンの母
- パズル
- 太陽と海の教室
- ROOKIES
- ごくせん 第3シリーズ
- 学校じゃ教えられない!
- 恋空
- スクラップティーチャー
<2009年>
<2010年>
<2011年>
- 大切なことはすべて君が教えてくれた
- 美咲ナンバーワン!
- スクール!!
- ハガネの女 第2シリーズ
- 鈴木先生
- 高校生レストラン
- アスコーマーチ
- ろくでなしBLUES
- 陽はまた昇る
- 桜蘭高校ホスト部
- 花ざかりの君たちへ 第2シリーズ
<2012年>
- 数学♥女子学園
- マジすか学園2
- 理想の息子
- 放課後はミステリーとともに
- クローバー
- 悪夢ちゃん
- 私立バカレア高校
- ビギナーズ!
- 黒の女教師
- スプラウト
- シュガーレス
- 高校入試
<2013年>
- 放課後グルーヴ
- マジすか学園3
- みんな!エスパーだよ!
- 35歳の高校生
- 幽かな彼女
- ぶっせん
- ぴんとこな
- リミット
- 山田君と7人の魔女
- 仮面ティーチャー
- 49
<2014年>
- 恋文日和
- 夜のせんせい
- なぞの転校生
- ロストデイズ
- 金田一少年の事件簿N
- セーラーゾンビ
- 弱くても勝てます
- あすなろ三三七拍子
- GTO
- アゲイン!!
- アオイホノオ
- 水球ヤンキース
- 近キョリ恋愛
- 地獄先生ぬ~べ~
- ごめんね青春!
<2015年>
<2016年>
<2017年>
- 僕たちがやりました
- 先に生まれただけの僕
作品本数の推移
【2003年】4→7→10→11→11→10→7→9→11→12→11→15→8→4→2【2017年】
こうみると意外にも2004年~2015年までは一定数をキープしている。2014年は当たり年。もうこのころには若者のテレビ離れが叫ばれて、学園モノじゃ視聴率が取れない!なんて言われてた気がする。若い視聴者獲得への最後の賭けだったのかもしれない。16・17年は明らかに低迷している。まあ2003年の状況に回帰したといえなくもない。
これからはどうだろう、少し上下することはあっても2004年~2015年のように豊作の時期がくることはしばらくないんじゃなかろうか。学園ドラマが社会現象になったなんてしばらく聞いていないし、やすらぎの郷みたいな高齢者に向けた話題作も登場するようになってきた。若者がテレビドラマを欲していないだけではなくて、テレビドラマも視聴率に貢献しない若者をあまり欲していないのかも。
じゃ学園ドラマを観るような若者はどこへ行ったんだろう。たぶん、いや確実にアニメだ。今はオタクだってヤンキーだって関係ない、大勢の若者がアニメを観る時代。アニメには若者向けの作品が無限にある。ここにテレビドラマが対抗していくのは正直難しい。私は対抗して欲しいけど。
あと、なんだかんだ多くのアニメ視聴者はテレビドラマを嫌う傾向にある。ちょっと調べれば、脚本が雑だとか、配役が合ってないだとか、演技が拙いだとか、照明の色が気に食わないだとか、アニメ視聴者からテレビドラマに向けた様々な批判が出てくる。この意見には私もメチャクチャ同意する。
なぜテレビドラマがこんなことになるのか(資金・事務所・技術の問題)はあちこちで議論されているので私は書かないけど、”若者向けドラマ”における日本と海外の違いについて言及してるのはあまり見ないから、そこらへん思うことを書きなぐっていきたいなと。海外にはテレビ離れが進んだ今でも、若者向けドラマのヒット作がいくつもあるので。
それを書くに当たって、2000年代の知識じゃダメ、最近の日本産若者向けドラマを観なくてはと思ってるんだけど何が良いのかなあ…?
フレッシュアンドボーン(シーズン1)を観た
主演女優がゴールデングローブにノミネートされた海外ドラマ、『フレッシュアンドボーン』をAmazonプライムビデオで観ました!
アメリカでは有料チャンネルStarzにて、2015年に全8話を放送済みです。日本ではAmazonプライムビデオ独占配信となっています。
<あらすじ>
家出少女クレアは夢を追うため、ニューヨークへ飛び出してバレエカンパニーに入団、秘めた実力を魅せつけることによって他の熟練ダンサーを押さえ、晴れてソリストに選ばれるというシンデレラストーリーです。いやいや、シンデレラストーリーとは言ってもバレエ界の知られざる裏側や、兄と妹の禁断の関係などかなりダークな面もこの作品は積極的に描こうとしています。むしろそっちが本題ですね。
運よくバレエ団に入ったは良いものの、そこでクレアを待ち受けていたのは独裁的で横暴な指導者やクレアを蹴落とすことに必死なライバルたち。ルームメイトのミアはクレアの才能に嫉妬し、冷たく接します。唯一クレアに近づいてきた団員のダフネも夜はストリップクラブのダンサーという裏の顔を持っています。のちにクレアもそのクラブのダンサーになり、経営者のマフィアと繋がりを持ってしまいます。一方でなにやらクレアとこじれた関係のありそうな兄ブライアンもクレアを探すため、ニューヨークへ旅立ちます。
リアルなバレエ界を知らないので本当はどうかなんて微塵も知りませんが、このドラマのバレエ界はとにかくドロドロで官能的。あちこちで嫉妬が渦巻いています。男も女も笑
<キャスト>
主人公クレアを演じるのはバレリーナのサラヘイ。撮影時20代後半のはずなんですが華奢な体だからか童顔だからかかなり若く見えますね。彼女はこの役でゴールデングローブや批評家協会テレビ賞などにノミネートされています。また、アカデミー賞5部門にノミネートされ、同じようなテーマを扱った映画『ブラックスワン』にもチョイ役で出演しているみたいです。
クレアの所属するABC(アメリカン・バレエ・カンパニー)の舞台監督ポールを演じるのは、海外ドラマ『ハウスオブカード』やスターウォーズのスピンオフ映画『ローグワン』で有名なベン・ダニエルズ。まあかなり横暴な役柄なんですが、バレエ団はこの人が動かしているので誰も逆らえません。この人に意見できるのはバレエ団初期に貢献したダンサーのドン、キーラくらい。
ABC(アメリカン・バレエ・カンパニー)のプリマ、キーラを演じるのは、イリーナ・ドヴロヴェンコ。彼女もサラと同じく演技経験は浅く、出演作品は少ないですが、日本にまだ上陸していないジ・アメリカンズS5(好きなドラマ!)に数話出演しているみたいです。いやーこの方は風格がありますね。キーラはプライドも高く、女王様気質なんですがおかれている状況から彼女の嫉妬や苛立ちもなんとなく理解できてしまうキャラクターです。
NYCでクレアのルームメイトとなるミアを演じるのはエミリー・タイラー。彼女もまだ出演作は多くありませんね。テレビで大きな役をもらったのは『フレッシュアンドボーン』のミア役が最初だったようです。S2でキャンセルされてしまったようですが、最近までCBSの『Code Black』に出演していました。
<感想>
テンポが良い!
このドラマ、ポンポンとテンポよく進んでいくのでとても見やすいんです。一転、内容はかなり衝撃的で、エロティック。男女関係なく出演者の脱ぎっぷりが凄いです。大人のドラマですね。題材は近親相姦やドラッグ中毒、違法風俗、児童労働、介護問題、横領などかなりダークでバラエティに富んでいます、ええ…ええ。しかもこれがかなりマミーポルノライクに描かれているんですよ!官能的で美しく刺激的で、過剰に嫌悪感を煽らないよう上手くまとめられていると思います。良い意味でも悪い意味でもこれらの社会問題を扱う上でのリアリティは薄く、全てエンターテインメントの一要素として楽しむような作品ですね。
主人公が内気
このドラマの一つの特徴は主人公クレアがとても内気なところです。世間をあまり知らなさそうなうぶな女の子。 たまに大胆な行動をとったり、そこからの成長も描かれていくんですが、基本は受け身です。少女漫画の主人公みたいな。視聴者にとっては親しみやすいキャラクターだと思います(他の登場人物は傲慢でプライド高いか変態)。個人的にはクレアのスタンスの分かりにくさを感じたので、もっと成長してフル強化された積極的なクレアも見てみたかったですね。
バレエ
このドラマの大きな盛り上がりである終盤のバレエシーンは圧巻です。人間ってここまで身体のみで表現することができるんですね、ダンサーの方々の繊細さ・しなやかさに目が離せませんでした。バレエを通して演技するシーンも多いので感情の高まりが伝わりやすいのはこのドラマのいいところだと思います。そこだけを切り抜くと歌をバレエに代えた『glee』のようですね(ここまで読んでもらったらわかる通り内容やテイストは全っ然違いますよ!)。
S1で打ち切り
残念ながらS1で打ちきりなのでS2に持ち越されたであろう謎が明かされぬまま終ってしまいました…。良い人なのか狂ってるのかバカすぎるのか分からないホームレスのロミオや(あのロミオは唐突すぎますよ、主人公のためを思って最終的にストーリーを大きく動かすような行動をとるんですが、正直主人公周辺の物語を進めるための都合の良い駒にしか見えなかったです)、大きな問題を抱えるミアの行く末、クレアとブライアンの関係も本当のところはよくわからないままですね。正直、ストーリーに無理やり感を感じることが少なくなかったのでS2でそこの抜けを説明してもらいたかったです。
このドラマは終わってしまいましたが、キャスト陣、特に主役を演じたサラ・ヘイさんの今後には注目していきたいと思っています。